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熟年離婚

 38年間、教員として勤めた夫が、昨年の3月で定年退職しました。夫は定年後、再就職せず、一日中家に居ます。夫は典型的な亭主関白であり、家の中で威張ってばかりいます。
また、家事には一切協力してくれず三度の食事の支度も苦痛です。夫と別れてのびのび暮らしたいのですが、このような場合、夫と離婚することはできるのでしょうか。(Aさん、主婦56歳)

 いわゆる熟年離婚に関する相談です。厚生労働省の発表では、2009年の統計で、同居期間が20年を超える夫婦の離婚は、なんと4万件を超えています。今後もこの件数は増加することが予想されます。私の事務所でも、近時、熟年離婚についての相談は急激に増加すると予想しています。

まずは、離婚するための手続きについて確認しておきましょう。
離婚の手続(方法)には、主に①協議離婚 ②調停離婚 ③裁判離婚 の3通り の方法があります。家庭裁判所の権限で離婚を成立させる審判離婚という手続きもありますが、実際にほとんど利用されていません。

そこで、日本国内で離婚する夫婦の場合、これらの3つのうちのいずれかの手続きで離婚をすることになります。

①協議離婚は夫婦間の話し合いで離婚を決定し、離婚届にお互いが署名押印して役所の戸籍係に提出して成立します。離婚全体の約90%はこの協議離婚が占めています。
夫婦間の話し合いによって離婚の合意ができない場合は、②調停離婚③裁判離婚のいずれかの方法で離婚することになります。なお、いきなり離婚の裁判を提起することはできず、まずは調停をする必要があります。(調停前置主義)

②調停離婚は、夫婦の一方が家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行い、調停委員の立ち会いのもと話し合いをし、お互いが納得した場合に離婚が成立します。しかし、何回調停を行っても合意に至らない場合は調停が不成立になってしまいます。調停離婚は、離婚全体の約9%程度です。

③裁判離婚は、調停でも離婚が成立しなかった場合の最後の手段です。この場合、一方が離婚に同意しなくても、法律に定められた離婚原因がある場合には、離婚を認める判決が下されます。典型的な離婚原因としては、配偶者の一方の浮気(不貞行為)があります。

さて、Aさんの場合も、夫が離婚に同意してくれれば、①協議離婚によって離婚できるのは当然ですが、②調停でも夫が離婚を拒み、③裁判になった場合に判決で離婚が認められることは難しい問題となります。

実際の裁判所では、亭主関白であることに加えて、妻に対する暴力行為があったような事案で離婚が認められたケースはありますが、単に「亭主関白である」とか、「家事に協力しない」というだけでは判決で離婚が認められるということは難しいと思われます。

いずれにせよ、夫婦の一方が退職した後は夫婦のライフスタイルが急激に変化し、さまざまな問題が生じるのも当然です。まずは、二人で率直に話し合ってみてください。