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公務員が自己破産

 公立学校の教員です。ネット株取引、パチスロ、出会い系サイトの使用料等による借入れによって借金が雪だるま式に増え、月々の返済額が30万円を超えてしまいました。住宅ローンの返済や高校生の子供2人の教育費もあり、返済が困難な状況です。自己破産した場合、子供の進学・就職に影響はありますか。また、公立学校の教員を続けることはできますか。(Aさん、47歳)

 今回は、個人の自己破産に関する相談です。Aさんのような安定した収入のある公務員でも、収入に見合わない生活や浪費によって借金が膨らみ、返済が困難な状況に陥るケースは少なくありません。破産手続は、債務者が経済的に破綻した場合に、債務者の現在及び将来の収入・財産によって借金を返済することが著しく困難であることを裁判所に認めてもらい、高価な財産を処分する代わりに、法的に借金をなくしてもらう手続きです。

自己破産の最大のメリットも、一定の例外を除く一切の借金の返済義務が法的になくなる点にあります。これに対して、自己破産にはいくつかのデメリットがありますが、この点については一般の人々に様々な誤解があるので、よくある誤解についてここでまとめておきましょう。

①自己破産したことが戸籍や住民票に記載されることはありません。破産手続開始決定は官報に掲載されますが、一般の人が官報を見ることはほとんどないでしょう。

②選挙権・被選挙権が失われることもありません。

③本人や家族の進学・就職に影響が出ることもありません。

実際にある不利益としては、自己破産の手続中に限り、保険の外交員や警備員などの一定の職種に就くことが制限されますが、公務員については、人事員のような特殊な例を除いて資格制限はありません。
したがって、Aさんの場合も、自己破産によって子供の進学・就職に影響が出ることはありませんし、公務員である公立学校教員を辞める必要もありません。

破産開始決定後、免責が認められると、公租公課、養育費、故意または重過失による不法行為に基づく損害賠償債務等の一定の例外(非免責債権)を除く一切の借金の返済義務が法的になくなります。
もっとも、法律が定める免責不許可事由がある場合は、免責が認められません。免責不許可事由の典型例はギャンブル等の浪費です。

Aさんの場合、パチスロや出会い系サイトによる借金があるということであり、これは一応免責不許可事由に該当しますので、その程度如何によっては免責が許可されない可能性もあります。
もっとも、破産管財人が免責不許可事由の内容・程度や反省の有無、今後の更生の見込み等を調査した上で、免責が認められる場合もあります。平成15年の統計では、免責不許可率は0.08%(1万人に8人)に過ぎません。

借金の問題については、法律の専門家に相談することで、ほとんどの場合解決することができます。公務員であっても、一人の消費者であることにかわりはありません。一人で悩まずに、ぜひ法律の専門家に相談してみると良いでしょう。