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特定調停と過払い金

 10年ほど前から、仕事のストレスをブランド品の買い物やホストクラブ通いで発散するようになり、気付いたら消費者金融会社等からの借金が200万円以上に膨れあがってしまいました。勤務先の校長先生に相談したところ「破産をせずに借金を整理できる方法があるよ」と、裁判所の「特定調停」という制度を教えてもらい、昨年、特定調停で借金をゼロにすることができました。

しかし、過払い金の請求を読むと、私も「過払い(かばらい)」になっていたのではないかと思いました。すでに特定調停で話し合いが終わっている場合にも過払い金を取り戻すことができるのでしょうか。(Aさん・34歳女性、小学校教員)

 過払い金請求(払いすぎた利息を取り戻す)のように、利息制限法で決められた利息を超える利息の支払が借金の元本を超えた場合は「過払い金」として、貸金業者からそのお金を取り戻すことができます。

特に
①10年以上の期間、消費者金融会社と取引がある
(取引が長ければ長いほど取り戻せる金額が大きくなる可能性が高いです)
②取引期間は5~9年であるが、決まった金額を毎月きちんと返済し続けている
③過去に完済(全額返済)したことがある

などの条件の一つにでも当てはまる人は、過払い金を取り戻すことができる可能性が高いです。相談者のAさんのように、10年ほど前から消費者金融会社と取引がある場合だと、過払い金が発生していた可能性が高いといえます。

しかし、問題は、「特定調停」で話し合いが済んでいた場合でも過払い金の返還請求ができるかどうかです。答えは、特定調停をしていたとしても、過払い金を取り戻すことができる場合があります。

特定調停とは、借主と貸主の話し合いを裁判所が仲介し、分割弁済や返済条件の軽減などが合意するよう働き掛け、借主が経済的に立ち直れるように手助けをする手続です。借主と貸主に合意が成立し、これを調書に記載したときは、原則として調書の記載は裁判の判決と同じ効力を持ちます。

このように、裁判所という公的な場で話し合いをした以上、過払い金についても争えないのでは、と思うかもしれませんが、次の条件のどちらかに当てはまる人は、過払い金を取り戻すことができる可能性があります。

①調停の条項が「相互に債権債務がないことを確認する」という記載ではなく、単に、「債務を負担していないことを確認する」となっている場合
②調停の条項が「相互に債権債務がないことを確認する」という記載になっているが、取引履歴の開示が途中の段階で調停に応じてしまった場合

①の場合は、債権がないことは調書に記載されていないので、過払金の請求ができます。最近の調停実務では、債務がないことのみを記載して、過払い金の請求する途を残すことが多いようです。
②のように、債権がないことを調書記載した場合でも、調停で貸金業者との取引履歴の開示が途中だった場合は、未開示の部分について過払い金の請求ができる可能性が高いです。

これらの条件に当てはまるかもしれないと思う方は、ぜひ早めに相談に来られることをおすすめします。