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簡易裁判所の「民事調停」ってどんな制度なの?

 私は、旭川市内永山に住んでいる34歳の男です。昨年末、隣の家の屋根から、雪のかたまりが私の自宅の敷地に落下して、そこに駐車してあった私の自動車(メルセデスベンツS550)を直撃しました。

その結果、自動車のボンネットがへこみ、修理費として約87万円かかりました。最初は、隣人である87歳男性も、自分の非を認め、謝っていたのですが、途中から、自分には一切責任はないと開き直り、一向に話し合いが進みません。

そこで、先日、知人女性から紹介されて、旭川弁護士会の法律相談センターに相談にいったところ、相談を担当していただいた弁護士さんからこのような場合、簡易裁判所の「民事調停」手続きを利用して解決することを検討してみるのがよいのではないかというアドバイスを受けました。簡易裁判所の「民事調停」というのはどのような制度なのか教えてください。(Mさん・34歳自営業)

 今回は簡易裁判所の「民事調停」についてのご相談です。

「民事調停」は、通常の裁判とは異なり、裁判官のほかに一般市民から選ばれた調停委員二人以上が加わって組織した調停委員会が両当事者の言い分を聞いて、必要があれば事実も調べ、法律的な評価をもとに条理に基づいて歩み寄りを促し、当事者の合意によって実情に即した解決を図る制度です(裁判所ホームページ参照)


民事調停は、民事に関する争いを取り扱います。具体的には、①お金の貸し借りをめぐる紛争、②売買代金の支払いをめぐる紛争、③交通事故をめぐる紛争、④借地借家をめぐる紛争、⑤近隣関係の紛争、等様々な紛争があります。

また、建築紛争、医療事故、賃料の増減、騒音・悪臭等の近隣公害などの解決のために専門的な知識経験を要する事件については、医師、建築士、不動産鑑定士等の専門家の調停委員が関与することにより、適切かつ円滑な解決を図ることができます。

さらに、特殊な民事調停として、借金をしている方等がこのままでは支払を続けていくことが難しい場合に生活の建て直し等を図るために債権者と返済方法などを話し合う手続として、特定調停があります。

この民事調停には、次のようなメリットが存在します(最高裁判所事務総局発行の手続案内パンフレットより一部引用)。

①手続きが簡単
民事調停の申立てには、特別の法律知識は必要ありません。申立用紙と、記入方法を説明したものが、簡易裁判所の窓口に備え付けてありますので、簡単に申立てることができます。また、調停の手続き自体も、それほど困難ではなく、弁護士等に依頼しなくても、自分1人ですることができます。

②費用が安い
裁判所に収める手数料は、通常の裁判に比べて安くなっています。例えば、10万円の貸金の返還を求める調停を申し立てるための手数料は600円です。また、前述したように弁護士に依頼しないで自分で申立てることも容易なので、弁護士費用の出費もしなくて済みます。

③秘密が守られる
民事調停は非公開で行われ、また、調停委員は守秘義務を負っていますので、他人に知られたくない場合にも安心して事情を話すことができます。

④円満な解決が実現できる
通常の裁判とは異なり、両当事者の話し合いを基本とした手続きなので、実情にあった円満な解決をすることが可能です。相談者Mさんの場合も隣人を相手に通常の裁判を起こすのは躊躇してしまうとしても、調停であれば、多少は穏当であるといえるのではないでしょうか。

⑤迅速な解決ができる
通常、調停が成立するまでには平均2、3回の調停期日が開かれ、全体の80%以上が3か月以内に解決されているようです。

⑥調停調書の効力は判決と同じ
そして、民事調停において、成立した合意の内容を記載した調停調書は確定判決と同様の効力を持ち、これに基づき強制執行を申し立てることもできます。

 このように、簡易裁判所の民事調停手続はとても便利な手続きですので、皆様も様々なトラブルの解決に利用してみてはいかがでしょうか。