旭川の弁護士による法律相談は【旭川総合法律事務所】へ

旭川総合法律事務所
Q&ARESERVATION
HOME PERSONAL COMPANY TEAM ABOUT ACCESS PRICE

養育費が払えない!!

 私は、34歳の男です。2年前に、妻と協議離婚し、当時3歳だったひとり娘の親権者は妻になりました。私は、その当時、開業医であり、年収もそれなりにあったので、離婚後、養育費として、毎月8万7000円を支払っていました。
ところが、このたび、経営していたクリニックを閉鎖し、幼い頃からの夢だったブライダル業界に転職したところ、収入が大幅に下がってしまいました。現在の収入では、毎月8万7000円もの養育費を支払うことはできません。1度決めた養育費の減額を請求することはできるのでしょうか。(Mさん34歳・ブライダルコーディネーター)。

 今回は、養育費の減額請求についてのご相談です。
そもそも、養育費とは、未成熟子が独立の社会人として成長自立するまでに要する全ての費用、すなわち、衣食住の費用、教育費、医療費、適度の娯楽費などをいいます(「離婚問題法律相談ガイドブック」東京弁護士会等編)。
夫婦が結婚している間には、養育費について問題となることはあまりありませんが、離婚によって親の一方が子を引き取って監護することになれば、それに要する費用をどちらがどれだけ負担するかが問題となります。

それでは、まず、相談者のMさんのように、離婚の際に、母が親権者となり娘さんを監護している場合、父であるMさんが負担すべき養育費の額はどのように決まるのでしょうか。

この点、養育費の額は父母の協議によって決めるのが原則ですが、話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での調停や審判という手続きによって、養育費の額を決めることになります。

家庭裁判所において、具体的な養育費の額を算定する際には、裁判官等から構成された「東京・大阪養育費等研究会」が簡易迅速な養育費の算定を目指して作成し、平成15年に公表された「養育費算定表」が用いられています。この「養育費算定表」は、当事者の所得金額、子供の人数・年齢等に基づいた客観的な基準よって養育費の額を算定するものです。

それでは、次に、相談者のMさんは1度決めた養育費の減額を請求することはできるのでしょうか。

この点、離婚の際に養育費を取り決めた場合でも、離婚当時に予測し得なかった個人的、社会的事情の変更が生じたと認められる場合には、相手方に対し、養育費の増額ないし減額を請求することが可能です。

その可否の判断に、①父または母の再婚とそれによる新たな子の出生②職業の変更と収入の変化③病気④養育費を取り決めた際の交渉の経緯等の諸般の事情が考慮されます。

したがって、Mさんの場合にも、家庭裁判所に養育費の減額について、調停・審判を申し立てれば、それが認められる可能性はあります。

 しかしながら、たとえ離れ離れでもあなたのかわいい娘さんであることには変わりありません。養育費を減額しようなどと考えるのではなく、自分の生活費や遊興費を極限まで切りつめて、今までどおりの養育費を支払っていくよう努力してみてください。