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相続をめぐるトラブル

昨年、私の母が87歳で亡くなりました。父はすでに他界しており、相続人としては、長女である私、長男である弟、次女である妹の3人がいます。現在、3人で遺産の分け方について話し合っているのですが、それぞれの言い分があり、なかなか話がまとまりません。母の生前は、とても仲のよかった兄弟が、今では非常に険悪な関係になってしまいました。

なお、母は、遺言書は作成しておらず、相続財産は、母が住んでいた土地・建物と預貯金約870万円だけです。今後、どのように遺産分割の手続きを進めていったらよいのか教えてください。また、この機会に、遺言についても教えてください。(名寄市・ B さん65歳女性)

 今回は、遺産分割に関する相談です。相続は、被相続人(亡くなった人)の死亡と同時に開始します。そして、相続人が複数いる場合には、遺産は相続分に応じて相続人が共有していることになります。この共有している財産を、共有者各人に分けるのが遺産分割です。

この遺産分割において、相続人間に争いがない場合には、話は簡単です。相続人間で合意した内容に基づいて、 遺産分割協議書 を作成することになります。

これに対して、ご相談の事案のように相続人間に争いがある場合には、まずは、家庭裁判所に 遺産分割の調停 を申し立てるという方法が考えられます。この調停は、相続人のうちの1人もしくは何人かが他の相続人全員を相手方として申し立てるものです。

次に、話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続が開始され、家事審判官(裁判官)が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、審判をすることになります( 遺産分割の審判 )。

このような相続人による争いを未然に防止するためには、やはり遺言書を作成しておくことが良いでしょう。

私もいろいろな機会に、遺言の重要性について話すことがあるのですが、その際に返ってくる答えは、 「うちには財産がないから大丈夫。」、「うちの息子娘たちは仲がよいから大丈夫。」 というものです。

しかしながら、 現実には、わずかな財産をめぐって血みどろの相続争いが生じている例がたくさんありますし、 B さんのように相続をめぐって仲のよかった兄弟の関係が急激に悪化してしまうこともよくあること です。

以下では、通常の場合に利用することができる 3 種類の遺言について、その特色を見てみましょう。


①自筆証書遺言

自筆証書遺言は、本人が自筆で書く遺言であり、遺言の内容全文と日付、氏名をすべて自筆で書き、押印することが要件となっています。簡単に作成できることや遺言の存在や内容を他人に秘密にしておくことができる点が長所ですが、方式の不備がおきやすい、隠匿や破棄の危険性があるという短所があります。また、相続の際は相続人により、家庭裁判所で検認を受けてもらう手続が必要となります。

②公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が2人以上の証人の立ち合いのもと、公証人に遺言の内容を口頭で話し、公証人がこれを筆記して作成する遺言です。 最も安全で確実であることや家庭裁判所の検認手続が不要である点が長所ですが、手続きが若干面倒なこと、公証人への依頼費用がかかること、そして遺言の存在と内容を立ち会った証人たちに知られてしまうという短所があります。

③秘密証書遺言

秘密証書遺言は、公正証書遺言と同じように公証役場で作成するのですが、遺言書の内容を密封して、公証人も内容を確認できない遺言です。遺言内容の秘密を守れるという点が長所ですが、公証人が遺言内容の確認をしないため、形式不備や内容の無効箇所があると、遺言の効力が否定される可能性があるというデメリットもあります 。

相続をめぐるトラブルについては、弁護士等の法律の専門家に相談するのがよいでしょう。また、遺言書作成に関する相談については、公証役場に相談に行ってみるのもよいでしょう。