会社の再建を考えています。民事再生手続の概要について教えてください。また、どのような場合に破産手続ではなく民事再生手続を利用することができるのでしょうか。(Mさん・35歳、会社経営) |
今回は、民事再生手続の概要と手続選択のポイントについてのご相談です。
民事再生手続は、経済的に窮境にある債務者について、債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、債務者の事業または経済生活の再生を図ることを目的とする再建型の倒産処理手続です(民事再生法1条参照)。再建型という点において、清算型の倒産処理手続である破産手続とは異なります。
民事再生手続のような再生型の倒産手続を選択するためには、事業再生の可能性があることが必要であり、事業再生の可能性がない場合には、破産手続を選択せざるを得ないこととなります。そして、民事再生手続を選択できるか否かについては、以下の事情を考慮して判断することになります。
①経営者の再生意欲と従業員の協力
民事再生手続においては、債務者は、原則として、業務遂行権及び財産管理処分権を失わないことから、従前の経営陣が当面経営にあたることになるので、経営者の再生意欲と従業員の協力が不可欠です。
②営業が黒字になる見込み
再生する事業について、事業収益が見込めることが必要です。
③資金繰り
会社を再建するためには事業を継続しなければならないことから、資金繰りが続くことが必要です。
④事業継続に必要な資産の確保
事業継続に必要不可欠な資産(例えば工場)に担保権が設定されているような場合には、その資産を継続的に使用できるようにする必要があります。
⑤債権者の協力見込み
再生計画案が認められるためには、債権者の一定数の同意が必要であるから、主要な債権者が再建に反対であるような場合には、民事再生手続きの選択は困難です。
⑥スポンサー企業の存在
債務者単独では、事業再生可能性が乏しい場合でも、いわゆるスポンサー企業(債務者の事業再生に協力する企業)がいれば、再生が可能な場合もあります。
以上のような事情を考慮して、民事再生手続によって、会社を再建することが可能か否かを判断することになりますが、その判断については、弁護士等の専門家に相談することが必要です。 |