私は、現在、妻と2人の子供と一緒に住宅ローンのある持ち家に住んでいます。約10年前から始めた借金が徐々に膨らんでしまい、現在、消費者金融会社6社に合計約360万円の借金があります。 同僚からは、自己破産したらどうかと言われたのですが、持ち家を手放したくはないことから、自己破産はしたくありません。このような場合、「任意整理」という方法があるそうですが、具体的には、どのような方法なのでしょうか。(旭川市・Pさん45歳・公務員) |
個人の方の債務(借金)を整理する方法には、大きく分けて ① 任意整理 ② 自己破産 ③ 個人再生の3つの方法があります。今回は、その中の「任意整理」についてのご相談です。
そもそも、 「任意整理」とは、多重債務等によって、約束どおりの返済が困難になった場合に、債権者(貸主)と支払金額や支払期間について交渉し、新たに返済の約束をするという方法です。自己破産や個人再生の手続きと異なり、裁判所を利用する手続きではなく、あくまでも債権者との話し合いによる解決の方法です。
任意整理のメリットは、自己破産や個人再生のデメリットを避けながら、利息制限法に従った引き直し計算や金利のカット等により、そのまま返済を続ける場合に比べて実際に返済する金額を減額することができるという点にあります。最近、話題の過払金(かばらいきん)の返還請求もこの任意整理の手段の一つといえます。
以下では、任意整理の手続きを弁護士(あるいは司法書士)に依頼した場合の具体的な処理の流れについてご説明します。
①受任通知の発送
まず、弁護士(あるいは司法書士)が、「任意整理」を受任した場合には、各債権者に対して、弁護士が代理人として介入したことを知らせる「受任通知」を発送します。この「受任通知」が債権者に届いた後は、債権者からの直接の取り立てが止まります。
②取引履歴の開示と引き直し計算
債権者から、取引開始時からのすべての借り入れ・返済の記録である「取引履歴」が届きます。それを利息制限法に従って計算し(引き直し計算)、正しい残債務額を確定します。各社から履歴が届き、引きなおし計算が済んで、債務の全体像が明らかになるまでに、約 1 か月半~ 2 か月程度かかります。
③支払う和解
そして、債務が残る場合には、分割(ないし一括)で支払う和解をします。弁護士(あるいは司法書士)が消費者金融会社等との間でする分割払いの和解は、利息制限法に基づく引き直し計算をした後の残元本のみを分割で支払っていくものであり、将来の利息は含まないのが通常です。
④過払金の回収
これに対して、払いすぎた利息( 過払金 )がある場合には、 債権者との交渉や裁判によって、過払金を 回収します。回収した過払金を、残った債務の支払いにあてることで、残債務が減少する場合もあります。
なお、過払金とは、簡単に言えば、貸金業者に「払いすぎたお金」ということです。法律上返す必要のないお金を返した場合、貸金業者に対してそのお金を返せと請求することができるのです。具体的には、次の条件のいずれか1つにでもあてはまる方は、消費者金融会社等から払いすぎた利息を取り戻すことができる可能性があります。
10年以上の期間、消費者金融会社と取引がある
5~9年であるが決まった金額を毎月きちんと返済し続けている
過去に完済(全額返済)したことがある。
この「任意整理」のデメリットとしては、「任意整理」の手続きを始めると、信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に情報が登録されるため、約5~7年間、簡単にはお金を借りられなくなるという点があります。 借金の「任意整理」を考えている方は、まずは、弁護士(司法書士)に相談してみることをお勧めいたします。 |