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子供の親権をとりたい

 私は、34歳の男です。長引く不況の中、経営していた会社も潰れ、追いうちをかけるようにアルコール性肝炎を患っていることが判明しました。昨年冬ころ、そのようなつらい現実から逃れたいという安易な気持ちから覚せい剤に手を出してしまいました。

そして、たまたま買物公園で職務質問を受け、警察に逮捕されました。約2か月間勾留された後、執行猶予の判決をいただき、先日ようやく社会復帰したのですが、13年間連れ添った妻に離婚をつきつけられてしまいました。すでに離婚については、合意していますが、3 歳になる長女の親権について争っています。私が親権をとることはできるでしょうか。(Mさん34歳・自称プロゴルファー)

 

 今回は、親権についてのご相談です。近時、旭川及び道北地方においても離婚の件数が増加しており、それに伴って親権についての法律相談も増加しています。
そもそも親権とは、未成年の子を監護、教育し、その財産を管理するため父母に与えられた身分上及び財産上の権利義務の総称です。この親権の内容は①身上監護権と②財産管理権の2つに大別されます。

民法上、①身上監護権の具体的内容としては、居所指定権(民法 821 条)、懲戒権(民法 822 条)、職業許可権(民法 823 条)等が定められています。また、②財産管理権の具体的内容としては、財産上の法律行為に関する代理権(民法 824 条)の規定があります。

それでは、この親権を行使する者すなわち親権者となるのは誰なのでしょうか。

まず、通常は父母が親権者となり、この場合には父母の共同親権となります。

そして、父母が離婚するときには、父母の一方が親権者となります。離婚の際に夫婦の協議で親権者が決まれば問題ないのですが、それが決まらない場合には、協議離婚届は受理されないのが原則です。この場合には、家庭裁判所での調停、審判、裁判の中で親権者を決定することになります。

審判や裁判の場合には、家庭裁判所調査官が、専門的知識に基づいて調査をした上で、最終的には子の利益、子の福祉の観点からいずれが適格であるかを家庭裁判所の裁判官が判断します。

具体的には、 ①乳幼児における母性の優先(生物学上の母親ではなく、子との母性的な役割をもつ養育者との関係) ②継続性の原則 ③子の意思 ④養育環境の比較 ⑤きょうだい不分離 ⑥面接交渉の許容性  などの複数の基準を検討して、父母のいずれが親権者としてふさわしいかを判断することになります。

なお、子が満 15 歳以上のときには、審判や裁判の前に必ず子の陳述(意見)を聴かなければならないことになっています。また、子が 15 歳未満の場合でも子の心身の発育の状況に応じて、子の意思が尊重されます。

 

今回のご相談者Mさんの場合、まだお子さんが 3 歳という幼児であることに加えて、アルコールに依存していることが窺えること、覚せい剤取締法違反で執行猶予中であること、実際には無職であること等も考慮すれば、親権をとれる可能性はほぼ皆無といえます。

子を監護、教育することを考える前に、まずは自分の更生を考えてください。