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整理解雇の有効性

 私は、旭川市内及びその近郊で、製造業を営んでいる者です。昨今の不況の影響で、売り上げが激減したため、経営立て直し策の一環として、当社の工場のうちの1つを閉鎖することを決めました。
その際に、その工場に勤務している社員の3分の1程度を解雇しようと考えているのですが、そのような解雇は認められるのでしょうか。(Nさん46歳 会社経営)

 いわゆる整理解雇についてのご相談です。「整理解雇」とは、使用者が経営不振などのために従業員を減縮する必要に迫られたという理由により一定数の労働者を余剰人員として解雇する場合をいいます。

この整理解雇が有効であるためには、従来の裁判例において、
①人員削減の必要性 
②解雇回避措置の実施の有無 
③被解雇者選定の妥当性 
④解雇手続の妥当性

の4つの要件が要求されています。それぞれの要件について少し詳しく見てみましょう。


①人員削減の必要性
まず、人員削減の措置の実施が不況、経営不振等による企業経営上の十分な必要性に基づいていることが要求されます。

②解雇回避措置の実施の有無
次に、使用者には、雇用調整の手段として、配転、出向、一時帰休、希望退職募集などの他の手段によって、できる限り解雇を回避するよう努力することが要求されます。判例上も、配転、任意退職の募集などの他の手段を試みずにいきなり整理解雇の手段をとった場合には、解雇権の濫用とされています。

③被解雇者選定の妥当性
さらに、被解雇者(解雇される者)の選定が妥当であるためには、勤務成績や勤続年数等の客観的で合理的な基準によって被解雇者の選定がなされていることが必要です。

④解雇手続きの妥当性
以上の点に加えて、解雇に至る手続きが妥当であることが要求されます。具体的には、労働者や労働組合と十分に協議し、会社の決算書類等の経理資料を開示して説明する必要があります。

もっとも、近時は、必ずしもこの4つの要件に立脚せず、整理解雇の有効性を判断した裁判例もあります。いずれにせよ、整理解雇は、労働者側に帰責性がない場合であり、裁判になった場合にも、使用者側に厳しい制約が課されるのが一般です。

  そこで、 N さんの場合も、いきなり整理解雇を実施するのではなく、まずは、希望退職者を募集したり、個別に退職勧奨したりする等の他の方法を検討してみることをお勧めします。